――前作『UC100V』のレコーディング中に、『UC100W』を作る決心をしたんですか?
- ABEDON
- そう。『UC100V』に入れる曲数を録り終えそうになったときに、バンドにまだ余力があったんですよ。なので、それを使い切らないで、もう一枚、アルバムを作ろうと。ちょうどツアーもふたつに分かれてるわけだし、その間にもう一枚作ってしまったら、バンドとしてはすごいなと思って。みんなに言ったら、みんなも賛成してくれた。それで行こうっていうことになったんですね。というのも、みんな、集中力にムラがあるというか(笑)。
――(笑)
- ABEDON
- やる気の起こるタイミングが、すごく少ないんですよ。
- 川西
- ほとんどやる気がない、みたいな(笑)
- ABEDON
- でもいいタイミングで「やろう!」っていうと、みんな集中して調整して来てくれる。ダラダラやるより効率がいい。
- EBI
- 『UC100V』を完成させて、ひと呼吸おいて『UC100W』のレコーディングに入った。いいことばっかりだったですよ。
――えっ? EBIさんが嬉しそうなのが意外(笑)。
- EBI
- (笑)もう大賛成でした。うわ〜、すごくいいって思いました。
――EBIさん、いつもは曲ができなくて困ってるのに。
- EBI
- 最近はね、早めに曲ができるんですよ。早めに詞まで作って(笑)。とにかくレコーディングに入ったら、余裕でやりたい。レコーディングしながら歌詞のことを考えたりするのがイヤで。
- ABEDON
- 曲を作るのにも、いろんなタイプがいるんでね。みんながモチベーションを持ってるタイミングを見計らって、今回、『UC100W』を作ることになった。
――通常のレコーディングよりも厳しいスケジュールだったんですか?
- 手島
- 事実上、2週間ぐらいだった。素から録ったから、その期間でこんだけやったっていうのは、振り返ってみるとすごいんだなと思う。
- ABEDON
- 制作の日数は、通常より少ないですよ。でもそれが僕はよかったなと思ってます。まず感心したのは、ここでこれをこなさなきゃいけないってことがわかると、みんなそれに対して準備をしてくるんだよね。ダラダラやるんじゃなくて、前の日に準備したり。そういうのって今まであんまり目にしなかったんだけど(笑)。
- 川西
- (笑)
- ABEDON
- 今回はそれがチラチラ見え隠れしたので。
- 川西&EBI
- ♪ちら、ちらちら、ちら〜♪(『UC100W』収録曲「チラーRhythm」のメロディで)。
- ABEDON
- (笑)ああ、プロだなっていう感じ。時間があると変な欲が出るけど、今回はやることで精一杯だっていうのがあるから、それがすごくいいなと思った。僕はそういうほうが好きですね。あんまり欲がないところが、気に入ってます。
- 川西
- レコーディングしてて、見極めなければいけないポイントが絶対出てくるからね。もし期限がなかったら、「これでいいんだろうか?」ってずっと思い続けるもん。考えることは悪くはないですけど、決めなきゃいけないとこは決めなきゃいけないじゃないですか。
――もう一枚作ることは全員一致で決まったんですか?
- 奥田
- まあ、そのぐらいできますよ。一人4、5曲作ればいいんだもん。それで2枚アルバムが出来ちゃう。
- ABEDON
- そうだね。1枚11曲入りだから、22曲で出来ちゃう。
――『UC100V』は全曲、タイトルが数字がらみでしたけど、今回の『UC100W』は“英文字”しばり?
- 奥田
- ま、英文字はタイトルぐらいですよ。それも、こじつけありで(笑)。
- ABEDON
- それと、作詞作曲のシャッフルをできるだけやりたかった。誰かが曲を書いたら、歌詞は別の人が書くっていう。
――なるほど!では、全曲解説に行きましょう。
①「M&W」
――「M&W」はABEDONの作詞作曲。めちゃくちゃ好きだね。イントロのリズムが実験的で、何が始まるのかと思った。
- ABEDON
- ほんとよね。
- 手島
- 俺も思う。イントロ聞いて、なんじゃこれと思った。ついに、「ABEDON、壊れはった!」って。
- 一同
- (笑)
- EBI
- あれ、ヘッドホンで聴いたらすごいよね。おお〜〜って。
- 奥田
- まあ、新しく買った楽器の実験だからね。
- ABEDON
- (笑)
- 手島
- うん、びっくりしたもん。それをみんなに振って、5人がどうするかっていう。「まだ実験すんのかい、こいつら」って。でもそれがあるから楽しいなと思う。
- ABEDON
- EBIも「ABEDON、狂ったか!」って言ってたもん。
- EBI
- 俺、言ったよね。「アベ、大丈夫?」って。
――実験的な曲なんだ。
- ABEDON
- 実験というか、僕、モジュラーという新しいツールにハマっていたんですよ。モジュラーって音の組み合わせの正解がない楽器なんで、自分の意図してない音が出るんですよね。その偶然みたいな音が気に入ってて。まるで違うメンバーが入ったみたいに、自分のイメージの範疇から飛び出してくれる。ソイツがおかしな音を出すもんだから。
――それでEBIさんが「狂ってる!」って言ったんだ。テッシーは「壊れはった!」って言うし(笑)。
- EBI
- そう(笑)。
- ABEDON
- (笑)モジュラーが出した音を間違えとしてとらえないで、拾っていくのが正解だと思う。だから自分でも最終的にどうなるかわからないまま進んでいくと、想像以上のモノが生まれる。
――チャレンジ精神のカタマリだね!
- ABEDON
- で、この曲を民生くんが1曲目に持ってきたときは驚いた。
- 奥田
- 俺か?(笑)
- ABEDON
- 曲順決めのときに「ああ、これはキタ~!」と思って。
- 奥田
- いや、問題児だから先に出そうと思って。
- ABEDON
- (笑)アルバム的にはすごいとこに行けるなって。
②「チラーRhythm」
――次は「チラーRhythm」。これは作詞作曲が奥田民生さん。
- 奥田
- ライブでやるといいんじゃないかと思って作りましたね。
――完全に“ディスコ”を意識した企画だったの?
- 奥田
- 企画っていうか。
- ABEDON
- これ、ライブではむしろカラオケでやりたいな。
- EBI
- 踊るの? 振り付け(笑)?
――(笑)
- 手島
- 俺、これ作ってて、やっぱり民生は詞を書くときのポテンシャルがすごいなと思った。最初、リズムを録ってるときは、マッチョな男たちの祭りみたいなイメージだったんだけど、とりあえず「ちら」だけ残ってたんですよ。「ちら」はもうハマってたから。で、「ちら」から発展させて、詞がこうなるかねと思って(笑)。
- 奥田
- いやいや。
- EBI
- 「ちら」は先にあったんだっけ?
- 奥田
- もう、「ちら〜」ってABEDONが言い出したから。
- 一同
- (笑)
- 奥田
- 「ちら」から逃げられなくなって。
- EBI
- そうかそうか。
――70年代末のディスコ・ヒット曲みたいな感じね。
- 手島
- そう。ビレッジピープル的なところに持っていくのはすごいなと思う。
- ABEDON
- 踊りたいの?
- 手島
- もう、ぜひ。
- EBI
- 踊りたい?(笑)
- ABEDON
- ぜひ踊りたい。ダンスじゃなくて、踊りたい。
③「That’s Life」
――③「That’s Life」は?
- 手島
- これは普通にいつもどおり作ったんですけど、どのテンポがいいんだろうって探しながら終わっていくっていう曲。
――テンポがどんどん速くなっていくよね?
- 手島
- 最後というか、曲の頭から全体的に均等に速くなってるんですよ。
- 川西
- 録ってるうちに、テンポが走っちゃったんだよね。
- 手島
- 違う、違う。わざと速くしてるの。
- ABEDON
- だんだん速くなっていくってアイデアが出てきたときは、「やった!」と思った。
- 手島
- だから終わった途端に頭に戻すと、大変なことになりますけど。うわってなるよ。
――そういう企画だけの曲?(笑)
- EBI
- いやいやいや(笑)。
- 手島
- 曲がしっかりしてないとこういうことはできない。
- 一同
- (笑)
- EBI
- 曲のタイトルが「ダッツ・ライフ」ですよ。
- 奥田
- ダッツ(笑)。
- 手島
- 「ザッツ・ライフ」=「それが人生」ってそろそろ言ってもいい年なんだなと思ったりして。
- EBI
- どういう意味?
- 川西
- どういう意味(笑)?
- 手島
- 「人生ってこんなもんだよ」って言える年齢になったんだなっていう。
――ABEDONが「これだ!」と思ったポイントは?
- ABEDON
- この曲を最初にレコーディングしたんだけど、このアイデアが出てきたときの感触がすごいよかった。キラっときたね。
- EBI
- キラッ(笑)。チラじゃないんだ。キラリズム!
――途中のギターソロ・バトルは?
- 手島
- 僕が最初に弾いて、ABEDONに行く。民生はずっとバッキングに徹してる。
- 奥田
- いや、このギターソロは俺だよ。
- EBI
- (笑)
- ABEDON
- 俺のギターが超うまい感じになっちゃってますけど、ありがとうございます。
- 奥田
- 最後のバトルは3人で。
- ABEDON
- 最後のバトルはテッシーくんと俺と…
- 奥田
- 途中が俺です。この曲って振り付けなかったっけ? ZZトップみたいに3人並んでギターを振るっていう。
- 手島
- でもテンポ速くなるからしんどいぞ。
- 一同
- (笑)
――最後にEBIさんが「早回しかい?!」って言ってますけど?
- 川西
- そうそう、いちばん最後にね。
- 手島
- しかも超デッドに言ってる。ちょっと笑うてる(笑)。
- 川西
- 『UC100V』の「365歩のマッチョ」で、EBIが「うるう年かい?」って言ってるのに続く「かい?」シリーズ(笑)。
- EBI
- そうそう(笑)。
④「TYT」
――「TYT」は、ひたすら悲しい歌ですね。タイトルも“泣き文字”になってるし。
- EBI
- これはね、いろいろありまして。「TYT」は、僕の亡くなったいとこのイニシャルで、それが泣きマークになった。
――そうだったんだ。
- EBI
- こういう経験はある程度年齢がいかないと歌にできない。
――ボーカルにかかってるエコーが深くて、聴いてて悲しくなる。
- ABEDON
- EBIくんの声はエコーの乗りがいいから、エンジニアさんもエコーを深くしたくなっちゃったのかも。
- 川西
- ついついね。
――奥田さんがベースを弾いてますけど、弾くにあたって心したことはあったんですか?
- 奥田
- 真面目にやろうと思いました(笑)。
- 手島
- 真面目な歌だから(笑)。
――ABEDONはメロトロンを弾いてますが。
- ABEDON
- だって、メロトロンってちょっと悲しいでしょ。もう、これでしょう。それでキング・クリムゾンのアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』のジャケットをイメージしながら弾きましたね。
⑤「4EAE」
――「4EAE」はABEDONさんが作曲で、川西さんが作詞。川西さんが「ぜひ詞を書きたい」って言ったんですか?
- 川西
- そうです、そうです。「書かして、書かして」って言って。もうイメージが泉のように湧いてきた。
- ABEDON
- (笑)
- EBI
- すごいよね。
- ABEDON
- 難しい譜割り(言葉のリズム)で歌詞を作ってきて(笑)。でも、それが“かわにっさん”風味なんだなと思って感心しましたね。
- 手島
- メロディーと歌詞が一致しないところがすごい。
- ABEDON
- そこに確固たる「これじゃないとダメだ」っていうこだわりがあるんですよ。
- 川西
- それはもうこだわってますよ。「歩いてるよ」っていうのを、♪あるいつぇるよ♪って歌ったり。
- ABEDON
- 川西くんが♪あるいつぇるよ♪って歌ってって言うから、そのまま歌いましたよ(笑)。
- EBI
- (笑)ちょっと英語っぽく感じるけど。
- 手島
- あそこだけ、ちょっとイラっとする(笑)。
- 奥田
- “かわにち”風味ね(笑)。
- EBI
- “かわにち”(笑)。
- ABEDON
- 風味が出てる。
- EBI
- 確かにABEDONが自分で歌詞を書いたら、あの譜割りには絶対ならないな。
- ABEDON
- そうね、ならない。
――そういう意味では不思議だね。ABEDONと川西さんの二人の能力がシャッフルされて、合わさって出来た。
- ABEDON
- そう。だから作ってて、すごく面白かったです。
⑥「BLUES」
――そして⑥「BLUES」は奥田さんが書いた曲に、また川西さんが「詞を書かせろよ、書かせろよ」と。
- EBI
- (笑)書かせろよ、書かせろよ。
- 川西
- いや。これは民生が「歌詞を書け」って持ってきた。
- EBI
- で、川西さんが「書くよ、書くよ」(笑)。
- 川西
- 「書けよ」だよ(笑)。
- 奥田
- これはかわにっさん、「書けよ、歌えよ」ですよ。メロディーもあってないようなもんなんで、「自由にどうぞ」みたいな。
――この曲のギターはABEDONなんだ。
- 手島
- リードがね。誰が弾いても、この味は出ない。
- 奥田
- ABEDONはフライングVを持って、譜面じゃなくて、ブルースマンのBBキングの写真を見ながら弾いてた。
- ABEDON
- もうひどいよ。「ギター弾いて」って言って、譜面を持ってくんのかと思ったら、写真持ってきたもん(笑)。
- EBI
- 俺、クラプトンが弾いてんじゃないかと思った。…あれ? ABEDONの反応があんまりない(笑)。
- ABEDON
- いやいや、まあね(笑)。
――フライングVを弾いてるギタリストは何キング? アルバート・キングだっけ?
- 奥田
- BBキングも。
- ABEDON
- みんな弾くよね。
- 川西
- 何キング?
- 川西
- ABEキング(笑)。
――「書けよ、歌えよ」って言われて、川西さんはどう思ったの?
- 川西
- 俺は勝手に、「60才=還暦の詞を書けよ」っていうことかなと思ったんで。でもね、ドラムを15才から始めたんで、♪45年経って候♪って密かに歌ってます。60才ということよりも、ドラムを45年間やってるっていうことのほうが大事なんで。それを含めて60才なんですけど。
- ABEDON
- かっこいいね。
- 奥田
- ♪15のとき〜。
- EBI
- かっこええなあ。
――で、ABEDONは「ブルースギターを弾け」って言われたんだ。
- ABEDON
- まあ、「BLUES」だからね。
- EBI
- 泣きのね。
- 手島
- ディ〜テレレレレ〜ってのが弾きたい! って言う。
- EBI
- 「俺に弾かせろ!」ぐらいな勢いだった(笑)。
- ABEDON
- (笑)俺の入魂のソロ。
- 手島
- すごくいいよね、このギターソロ。
――奥田さんがドラムを叩いた。
- 奥田
- 叩きたいというか、ライブだと、そのほうがいい。
- ABEDON
- 自分から「これは俺が叩く」って言ってたよ、最初から。
――ずっと前に「ブルース」っていうタイトルの曲、あったよね。
- 川西
- 「タイトル、どうしようかな?」と思って、昔、カタカナで「ブルース」だったから、今回は英語で「BLUES」にしたよ。
⑦「GoodTimeバレンタイン」
――「GoodTimeバレンタイン」は、川西さんの作曲。
- ABEDON
- 僕ね、最初、ドラムを狙ってたのよ。そしたら、川西くんが自分でドラム叩くって言ったんで。
- 川西
- フロントに行って歌うことはあったけど、ドラム叩きながら歌う曲がないじゃん。
- EBI
- ドラム叩きながら歌うのって、UNICORNではあんまりない。リンゴ・スターみたいに。
- 川西
- あ、確かに。で、EBIに叩けって言われて。
――歌いながら叩けって。
- EBI
- ♪叩け、叩け(笑)。
- ABEDON
- だから画的には、歌う人がいちばん後ろにいて、俺らは全員前に出る。
- 奥田
- っていうことは、踊れってこと?
- ABEDON
- (笑)
- 川西
- アベちゃんも、ショルキー(ショルダー・キーボード)で。
- 手島
- うわ、スパイダースやん。
- ABEDON
- っていう絵柄で、ライブは(笑)。
――これは川西さんが曲を作ってきて、「歌詞を自分で書かせろ」っていって。
- 川西
- そうです。俺の中ではもう出来たから(笑)。
――川西さんはドラムを叩きながら歌うイメージはできてたの?
- 川西
- そういうの得意ですから。電大ではいつもやってます。
――そうか。それをやろうと、EBIが提案したんだ。
- 川西
- そうです。
- EBI
- すげえ前向き(笑)。前向きな男だなあ。
⑧「7th Ave.」
――「7th Ave.」。これは作詞作曲/奥田民生・手島いさむっていう、レノン/マッカートニーみたいな表記になってますが。
- 奥田
- そうですね。最初から共作でやろうと。これは千鳥の番組『相席食堂』用に曲を作るっていう企画のための曲で。
- 手島
- もともとはね。
――ホントにオファーがきたの?
- 手島
- うん。
- 奥田
- 初めて『相席食堂』に出たとき、俺とテッシーのふたりで出たから、曲もふたりで作るっていって作ったんです。
- 手島
- 最初は民生から、「テッシー、とりあえず簡単な感じの曲作って」って言われて、ネタを持ってった。で、詞を民生が途中まで書いて、俺が途中から書いて。だから、詞も曲も両方半分ずつぐらい、キャッチボールしながら書いてる。
――今回のレコーディングの最中に?
- 手島
- そう。入れるかどうか、微妙なところだったんですけどね。
- 奥田
- まあ、作るんなら、それもアルバムに入れるかってことになったんですけど。
――このイントロのハープ(ハーモニカ)は、ABEDONが「私にやらせろ」と。
- ABEDON
- そうですね、やっぱり唇を血で染めながら吹かないと(笑)。この曲が、ハープを呼んでるっつうか、ビートルズそのままっつうか(笑)。
――ライブでは、1本マイクで、奥田さんとテッシーが歌う感じなの?
- 手島
- あ、それ、全然考えてなかった。
- EBI
- 1本マイクね。
――できればどっちか、左利きのギター持って欲しいよね。
- 手島
- ものすごい苦行やん、ものすごいハードルじゃないですか。
- ABEDON
- 左利きはテッシーだろうな。もしくはテッシーくんがひとりで鏡を置いて(笑)。
- 手島
- 合わせ鏡かい(笑)。
- 奥田
- 鏡! それ、すげえ面白い。
- EBI
- なるのかな、ちゃんとそういうふうに。
- ABEDON
- わかんないけど(笑)。
- 奥田
- 客の場所によるよ(笑)。
- EBI
- 角度によって違う(笑)。
- 川西
- そういうふうに見えるメガネとかないの?
- 奥田
- それはないな(笑)。
⑨「Lake Placid Blue」
――「Lake Placid Blue」。これはEBIさんのベースの色が曲名になってる。
- EBI
- そうそう。この色のギターもあるし、ベースもある。
――ギターのほうが有名だよね。
- EBI
- そうなんだよね。でも圧倒的にベースのほうが本数は少ないと思う。最近、それをリフレッシュ…リフレッシュじゃないわ(笑)。リフィニッシュして。僕が長く使ってるベース、青いプレベですけど。
――それを改めて歌にしてみた。
- EBI
- そうなんです。これ、実はタイトルを何にしようかなって悩んで。
- 奥田
- みんなもすげえいっぱい考えたよ。“青い三角ベース”とか、“私の青いベース”とか(笑)。
- EBI
- “私の青いベース”! 鳥じゃなくて?(笑)
- 奥田
- 私の青いベースも好きだったけどな、タイトルとして。
- 手島
- 私の三角ベース(笑)。
- EBI
- いろいろ候補があったんですけど、これにさせていただきました。
――詞の最後に「Fender Precision Bass '71」って書いてあるけど?
- 手島
- これ、どういう説明なん?(笑)。
- EBI
- プレベがわからない人のために。
――これでもわからないと思うよ。
- EBI
- うそ?
- 手島
- 歌詞カードに書くかなと思って。
――川西さんが叩きながら歌うのと一緒で、この曲はEBIさんがベースを弾きながら歌うの?
- EBI
- そう。久々なんですよ、ベースを弾きながら歌うの。
- 手島
- これで民生がベース弾いてたらすごいけどね(笑)。
- EBI
- ハハハッ、ベースの歌で(笑)。
- 奥田
- そのベースを(笑)。
- 手島
- ♪俺には〜♪、歌うとるのに(笑)。
- EBI
- でもね、これをレコーディングしてるとき、青ベースじゃなくて白ベースで弾いてたんですよ。そしたら民生から、「青じゃないんかい!」ってツッコミがあった(笑)。
- 奥田
- そりゃそうでしょう。
――それで録り直したの?
- EBI
- いや、そのまま白でやったんだけど(笑)。まあねって思いながらも。
- ABEDON
- (笑)
――ライブでは青いのでやるの?
- EBI
- そうですね。
- 手島
- 青く塗るんでしょ?
- EBI
- いやいや(笑)。
- 奥田
- リフレッシュする。
- ABEDON
- リフレッシュ!
⑩「D-D-D-, Z-Z-Z-」
――そして「D-D-D-, Z-Z-Z-」。
- 奥田
- これ、なんて読むの?
- ABEDON
- ディーディーディー、ズィーズィーズィー。
- EBI
- ドゥードゥードゥー。
- ABEDON
- ドゥードゥードゥーって(笑)。
――これは変則リズムになってる。
- ABEDON
- これもモジュラー発信だね。あいつがこの変なビートを刻んだせいで、EBIがまったく拍子をとれなくなってしまった(笑)。
- EBI
- そうそうそう(笑)。レコーディングの初めはできてたのに、途中からできなくなった。「あれ???」って。
- 川西
- それって、漢字を書いてて、これでいいんだろうかと思ったら、その漢字が間違ってるように見えてくるっていうのと同じ?(笑)。
- EBI
- それに近い(笑)。「あれれ? あらららら?」って。途中で、ちょっと待ってくださいっていう。
――ライブは大丈夫?(笑)。
- ABEDON
- これは聴いてる人がそんなふうにならないかなと思って作ったんですよ。聴いてる人が拍子がわからなくなるんじゃないっていうふうに思ってたら、まずメンバーがひっかかってしまった(笑)。
- EBI
- ミイラ取りが…違うな(笑)。
- 川西
- 人を騙すなら、身内から。
- ABEDON
- そうそう、身内からみたいな感じで。
- 川西
- EBIが「あれ?」って言った瞬間に、アベが「よっしゃー!」って。
- EBI
- (笑)術中にはまった(笑)。
- ABEDON
- EBIがハマってくれた!
⑪「DENDEN(Album Version)」
――最後の「DENDEN(Album Version)」は、まったく違う成り立ちの曲ですね。
- 川西
- ちょっと前に出した曲ですからね。
- EBI
- レコーディング自体もだいぶ前。
- 奥田
- これは『UC100V』のとき、一緒に録ってるから。
- 手島
- いや、全然前よ。一年以上経ってる。
- 川西
- 英語しばりなんで、タイトルが「DENDEN(Album Version)」になってるんですね。
――これはアルバム最後の曲にふさわしい。
- EBI
- ホント、エンディングらしいというか、ドラマが見えるというか。
――ボーカルのエコーとかを変えてるの?
- 奥田
- ミックスをやり直したよ。
――これがアルバム最後の曲に決まったのは?
- ABEDON
- これも民生くんの鶴の一声。
- 奥田
- 1曲目と同じで、これも途中には入らねえっす。作った時期もあるし、流れが違うんですよ、こいつだけはやっぱり。