EQUIPMENT 001 手島いさむ

ユニコーンメンバーが使用していた様々なアイテムを紹介するこのコーナー。第一回は手島いさむ氏が使用していたギターを紹介します。 解説はデビュー直後からテッシーが使うギターを手掛けてきた星野楽器の吉田さんにお願いしました。
ユニコーンはデビュー当初から星野楽器が製造するTAMAのドラム、Ibanezのギター、ベースを使っており、今回紹介するこのギターは吉田さんがテッシーの為に制作したたカスタムモデルです。
ギタリスト向けの本格的な解説文なので、一般の方にはチンプンカンプンな部分もあるかと思いますが、そこはご了承ください。


このギターは確か『働く男』のPVで一般に初めてお披露目した物ではないかと思います。
テッシーがメインで使用するIbanezのギターとしては3代目の物となり、その後、解散までメインで使い続けられた物。
デビュー直前、テッシーはFender Stratcasterを使っていましたが、デビュー後からはIbanezを使い始め、最初は黒のRGというモデルで、当時Roadstarと呼ばれていたモデルのちょい改造版でした。
確かピックガードを赤いのに変えたのは覚えていますが、Pick upがなんだったかは全く記憶にございません。元々ストラトを使っていたので3シングルのモデル、そしてロッキングトレモロ付きということでこのギターを選んだと思います。
 87年になると、Ibanezのラインナップが大きく変更され、使用していたRoadstarは廃番になったので、“じゃ、何か新しいモデルを”ということで、選んだのが当時PRO540R(後に540Rと変更された)で、これもストラトを意識しつつ、リアにハムバッカーが付いているのでソロとかにいいよねって感じで選んだはずです。(左のカタログ参照)
基本的にはプロダクションスペックそのままであったと記憶しています。Pick upもDiMarzioが付いていたし。このギターは色がとてもきれいで、テッシーはBrightBlue BurstとBright Red Burstの両方を持っていましたが、メインはブルーの方だったと思います。結構いろんなところで使われましたよね。(服部ツアーの日比谷野音もこのギターだったはず。)
そして、今回解説のRGモデルに繋がるんですけど、このRGへの移行は、私に記憶が正しければSteve Vai大先生の影響だったと思います。

当時のIbanezのスタンダードともいえるRG550シリーズをベースにテッシーの希望によりカスタマイズされているポイントは以下に。

1:ギター全体を白基調に


ボディーカラーが元々はパールホワイトという白色にパールが入ったものだったが、写真で分かるように黄変している。

2:ハードウェア


当時Ibanezでごく一部のモデルに使われていたホワイトゴールドと呼ばれるタイプに変更。
トレモロブロックの右手があたる部分は変色している。
また、ピックガードは欠けている所が何カ所もある、ロウアーホーンの先の欠けた部分はケガ防止のため角が削られ、リアPU下も大きく欠け、アルミのシールド部分が見えており、PUのネジ類もサビが浮き始めている。
左の写真で分かるように、ロウアーホーンのカットがストラトなどに比べると深く、ハイポジションでのプレイがしやすいのもこのモデルの特徴。
※長年の使用により、同色だったVOLUMEノブとTONEノブの色の違いが出た。いかにライブでVOLUMEコントロールをするかが分かる。

3:メイプルネック/フィンガーボードにもパールホワイトのドットポジションマーク、ピックガードも同カラーに。


当初は同色のアジャストカヴァーも付いていたが、何度かのネックを交換や、ツアー中に行う調整などもあり、現在のネックには最初から装着されなかった。

4:Pick up


フロント、リアはDiMarzio PAF-PROを搭載。センターは、Fender Lace censer ピックアップが付いている。
当時、テッシーはSteve Vaiの音を相当気に入っていたので、最初はセンターPick upもDiMarzioのFS-1がつけられていたが、しばらくしてテッシーの好みによりFenderに変更されている。
・Pick upセレクターのワイアリングは、これも当時H-S-Hのピックアップコンビネーションで何ができるかというところでIbanezとSteveなどで開発されたハーフトーンの位置の時にハムバッキングPUがタップシングルになり、シングルPU同士のハーフトーンの音が得られるという5種類の音が出る配線になっている。この音色の豊富さもこのギターを選んだ理由の一つだった気もする。
計ったところ、PUから弦までの距離はフロント5.1mm、センター4.5mm、リア4mmというリアに向かって弦に近づくセッティングになっていた。

<PUの組み合わせ>
1.フロント・ハムバッカー
2.フロント・タップシングル+センター・シングルのハーフトーン
3.センター・シングル
4.センター・シングル+リア・タップシングルのハーフトーン
5.リア・ハムバッカー

5:メイプルネック/フィンガーボード


24フレットというのはこれもRGのレギュラースペック。
ワンピースではなくネックにフィンガーボードを貼り合わせたもの。ネックの安定性を保つためにこの方法が用いられている。
NECKの薄さ、塗装も当時のRGのレギュラースペックだったので、特に何もしなかったような・・・いや、シーラーを削って、オイルフィニッシュにしたような記憶もあるが、本当に何本も折ってくれたんでスペアを大分用意しました。
ネックの厚みはナット部で15mm、12フレット部で17mm。幅はナット部で43mm、24フレット部で56mm。
計ったところ弦高は12フレットの指板からは2.5mm、フレットからだと弦までは1.2mm、弦は009〜042のアーニーボールを使用していた。

6:ボディバック


ネックジョイント部は1弦側に向かって斜めにカットされ、ハイポジションでのプレイがしやすくなっている。また、長年使用されていたことを証明するかのようにベルトのバックルで削られ、ボディ材料が見えている。ちなみにボディー材はアメリカンバスウッド。

7:アッパーホーンにあるストラップピンは、テッシーの派手なステージアクションのため何度も抜け落ち交換をした形跡が。


当時はDiMarzio製のロック式のストラップピンを使用していたが、現在は通常のピンに戻されている。

8:トレモロは、IbanezがデザインしたEDGE TREMOLOを使用している。


セットアップはフローティング状態を維持する、ダブルロッキングタイプではスタンダードなセットアップではなく、ボディーに密着させていた。

9:Ibanezオリジナルハードケースには当時テッシーがどこへ行くにもこのギターを持ち歩いていたことが解るかのように航空荷物のタグが残されている。(宅配便の伝票も・・・)


ツアー時はこのタイプのギターケースを何本も収めらる大型のケースに入れて機材車で移動していた。
ちなみにこのギター、解散後ずーっとIbanezにて保管されていた。。確か当時このギターは2本作られている。